
ドローンの包括申請とは|1年間・全国で飛行できる|2023年最新


ドローンの包括申請ってよく聞くけど、どんなメリットがあるの?



ドローンの包括申請のメリットは3つあります。
①飛行場所に関係なく、日本全国でドローンを飛ばせる
②許可が1年間有効なので、飛行のたびに申請する手間と費用を削減できる。
③クライアントからの急な業務依頼にも対応できる
ただし、ドローンの包括申請は、業務目的でないと申請できないのでご注意ください。
この記事を最後まで読むと、包括申請の取得方法がわかります!
- 包括申請により日本全国で飛行可能、許可が1年間有効
- 包括申請の条件は、業務目的であること、10時間の飛行経験
- DIPSでオンライン申請する方法
- 独自マニュアル作成のススメ|風速5m以上でも飛行できるようになるなど、飛行方法の幅が広がる
ドローンの包括申請とは?日本全国で飛行できる・期間は1年間
包括申請をすることで、1年間・日本全国でドローンを飛ばせるようになります。
包括申請は一番メジャー申請方法で、メリットがたくさんあります。
はじめてドローンの飛行許可を取得する人には、包括申請がオススメですよ!
- 日本全国でドローンが飛ばせる。(外出先・旅行先でもドローンが飛ばせる。)
- 許可の有効期間は1年間、行のたびに申請する手間と費用を削減できる
- クライアントからの急な業務依頼にも対応できる
- 申請手続きは、すべてオンラインで完結
本来は飛行の度に申請する必要があるところ、「包括申請」なら1年に1度の手続きで済むので、申請の手間や費用が削減できます。
包括申請で取得できる許可|可能になる飛行方法と飛行場所
包括申請では、DID地区内の飛行、夜間飛行、FPV飛行、人・物との距離を30m以上確保できない飛行・危険物輸送・物件投下の計6種類の許可を取得できます。
DID地区内での飛行は、許可が必要|DJIフライトマップなどで確認を
DID地区内の飛行は、人口集中地区に指定されている地域を飛行する時に必要です。
人口集中地区は、DJIのフライトマップで確認できます。
東京23区など都市部はほぼ全ての地域が指定されています。
都市部でドロ-ンを飛ばす場合は、ほぼ必須の許可です。


また、外出先でのDID地区の確認には、ドローンフライトナビ(iOS専用アプリ)が便利です。
夜間飛行の許可は、日の入りを過ぎてからの飛行で必要
「夜間」とは、「日の入から日の出まで」です。
日の入の時刻を過ぎると、周りが明るくても夜間飛行とみなされます。
また、日の入の時間は国立天文台が発表する時間が基準となります。
地域によって時間が変わるため、注意が必要です。
地域ごとの日の入の時間は、国立天文台の「今日のこよみ」から確認できます。
現在地を一覧から選択して、日の入時間を調べます。
またiOS用アプリ「ドローンフライトナビ」なら、GPSで現在地の日の入時間が即座に確認できるので便利です。
ドローンの夜間飛行については、別の記事で詳しく説明しています。


目視外飛行の許可は、プロポで撮影画像を確認する時も必要
目視外飛行の許可は、飛行中に撮影した画像を手元のプロポで確認する時にも必要です。
目視外飛行の許可が必要な状況はゴーグルを装着したFPV飛行だけではないのでご注意ください。
ドローンを使った屋根や外壁の点検業務では、確実に取得しておきたい許可です。
取得には、1時間以上の目視外飛行の経験が必要です。
また、ドローンスクールで目視外飛行についての認可を得ることで、実経験を免除できます。
人・物との距離を30m以上確保できない飛行の許可は、マストで取得すべき
航空法では、第三者・第三者の所有物から30mの距離を確保できない飛行は禁止されています。
第三者の所有物には、電力会社の管理する電線や電柱も含まれます。
日本国内でドローンを飛ばすには、電線・電柱から30mを確保しながらの業務は、かなり限定されるでしょう。
ドローンを業務で活用する場合は、ぜひ取得したい許可です。
包括申請のおもな条件は ①業務目的であること ②10時間の操縦経験
包括申請は、業務目的でドローンを活用する場合にのみ申請できます。
- 空撮
- 報道取材
- 警備
- 農林水産業(農薬散布)
- 測量
- 設備メンテナンス
- インフラ点検・保守
- 輸送・宅配
- 事故・災害対応 など
個人でも包括申請ができる|個人による空撮は業務目的になるか?
個人でも業務目的でドローンを飛ばす場合は包括申請できます。
業務目的と認められる範囲は広く、「ドローンを活用して収益化をおこなう」場合は認められる可能性が高いです。
たとえば、Youtube動画の撮影や、アフィリエイト広告での収益を目的とするブログに投稿する写真の撮影についても、業務目的として包括申請が認められている実績があります。
ドローンの包括申請を個人でする際の注意点については、詳細記事をご用意しています、あわせてご覧ください。


趣味目的では包括申請は認められない
趣味目的の場合は、包括申請はできません。
そのため、個別申請で飛行許可を取得することになります。
ドローンレースのための訓練飛行などは、趣味飛行とみなされます。
個別申請の場合は、申請前にあらかじめ飛行経路を特定して、申請時に飛行経路図の作成が求められます。
また、飛行のたびに許可の取得が必要となります。
ドローンの包括申請を趣味でする際のコツについては、詳細記事をご用意しています。


「個人でも包括申請が可能か」は判断が難しいため、ドローンを専門に扱う行政書士への相談をオススメします。
当事務所ならご相談は無料で承っております。
ドローンの包括申請には10時間の飛行経験が必要
包括申請をするには、10時間の飛行経験が求められます。
申請時に証明等は求められないので、飛行時間はあくまで「自己申告」となります。
素早く飛行経験を積むには、ドローンスクールに通うのが近道です。
国交省のホームページに掲載されたスクール(HP掲載団体)では、国が定めた基準に沿ったカリキュラムが組まれています。
10時間の飛行経験には、ドローンシミュレーターでの操縦は含まれないので、ご注意ください。
なお申請時に、夜間飛行・FPV飛行・危険物輸送・物件投下については、10時間とは別にそれぞれ経験時間の申告が求められます。
おおむね、2~3時間の経験があれば、許可が下ります。
ドローンの包括申請に必要な10時間の飛行経験については詳細記事をご用意しています。


包括申請の費用は無料|ただし登録には手数料がかかる
包括申請には、申請時の手数料はかかりません。
DIPSでオンライン申請をして電子許可証の発行を希望した場合のみです。
申請時に別途費用がかかるケースは2つあります。
- 郵送で申請する際の郵送料
- 紙の飛行許可証を希望する場合の、返信用封筒にかかる切手代など
いっぽう、2022年6月20日より義務化されたドローンの機体登録制度では、ドローンの登録1台ごとに手数料がかかります。
新しくドローンを購入して飛ばすまでに、この登録費用のみ費用がかかります。
ドローンの登録手数料については、別の記事で詳しく解説しています。


DIPSでの包括申請のやり方|手続きはすべてオンラインで完結
ドローンの飛行許可は、国土交通省のDIPSというシステムでオンライン申請が可能です。
ここからは、個人の方が空撮業務で包括申請するという設定で、ケーススタディをします。
DIPSアカウントの作成にはメールアドレスが必要です、あらかじめご準備ください。
国交省からの重要な通知はメールで届きますので、よく使うアドレスを設定しましょう。
- DIPSアカウントを作成する
- 機体情報を登録する
- 操縦者情報を登録する
- 申請書を作成して、申請を完了する
- 許可取得(最短で申請から10開庁日)
まずはDIPSにアクセスします。
DIPSトップ画面で、「はじめての方」から「個人」を選択
利用規約に同意
申請者情報を入力、「登録する」をクリック
登録したメールアドレスにメールが届くので、メールに記載されたURLをアクセスすると、登録が完了です。
トップ画面から、「準備が済んでいる方」の「ログインへ」を選択
IDとパスワードを入力してログイン
IDは、「申請者情報仮パスワード発行通知」という件名のメールに記載されています。
共通業務/メニューから、「無人航空機情報の登録・変更」を選択
「ホームページ掲載無人機」を選択、リストの中から機体を選択
機体情報、所有者情報を入力して完了
共通業務/メニューから、「操縦者情報の登録・変更」を選択
「新規作成」をクリック
操縦者の氏名・住所を入力
ドローンスクールの受講経験がある場合は、技能認証情報を入力・データのアップロード
操縦歴や飛行のための知識について入力
登録済みの機体のうち、飛行可能な機体を登録
登録をクリックして、完了
「申請書の作成(新規)」をクリック
「撮影」「測量」などの分類を選択
飛行期間を1年、飛行場所を全国で申請する。
機体、操縦者を選択
「航空局標準マニュアル」を選択
賠償責任保険・緊急連絡先を入力
「許可書の形式」は、「電子許可書」を選択
内容の確認して申請
不備や間違いがあった場合は、メールで通知されますので、申請後はこまめにメールチェックすることをおすすめします。
不備がなく許可が下りた場合も、同様にメールで通知されます。
電子許可書は、許可後にDIPSのシステム上からダウンロードが可能になります。
ドローンの包括申請をDIPSでおこなう方法については、詳細記事を執筆しています。
この記事では、DIPSの実際の操作画面も紹介しています。


包括申請の更新|前回の許可から1年経ったときの手続き【2023年最新】
包括申請で取得した許可の有効期間は1年なので、許可から1年後に更新する必要があります。
ただし、更新申請は前回の申請内容と同じ場合のみ可能です。
また、2022年12月にDIPSのシステムのアップデートがあり、2022年12月5日以前の許可を更新できない状況になっています。
許可期間を更新したい場合でも、DIPS2.0で新規申請をする必要があります。
ドローンの包括申請を更新する方法については詳細記事をご用意しています、あわせてご覧ください。


ドローンの独自マニュアルを作成するメリット|業務の幅が広がる
自分で包括申請する場合は、国交省のホームページに掲載されている「航空局標準マニュアル」を使用して申請するケースがほとんどです。
しかし、この「航空局標準マニュアル」を使用した場合は、「風速5m以上の風が吹いている場合はドローンを飛ばせない」といった厳しい条件が課せられます。
そこで、独自の飛行マニュアルを作成して包括申請時に提出することで、より幅広い飛行方法が許可されます。
- 幅広い飛行方法が許可され、受注できる業務の幅が広がる。
(学校や病院など人が多く集まる場所での撮影・点検業務など) - コンプライアンス意識の高い企業からも、業務が受注できる。
法令順守の観点から、許可書の提出や、許可される飛行方法の確認がおこなわれるケースがあります。
また、独自マニュアル作成により可能になる、飛行方法の代表例は以下のとおりです。
- 機体の最大風圧抵抗値までの飛行が可能になる。
- 周囲30m以内に人や物がある場合でも、離発着ができる。
- 学校や病院などの上空やその周辺での飛行が可能になる。
- 人口集中地区でのFPV飛行が可能になる。
ドローンの独自マニュアルを作成するメリットについては詳細記事をご用意しています、あわせてご覧ください。


独自マニュアルの作成は、行政書士に依頼するのがオススメ
独自マニュアルの作成には、航空局ヘルプデスクへ確認して、希望する飛行方法が包括申請で取得可能か問い合わせる必要があります。
これには、多くの時間と手間がかかります。
行政書士が作成する「独自マニュアル」を使って申請することで、上記の問題をクリアできます。
条件の「人や物」には、通行人、駐車している車、電柱・電線などが含まれます。
また、許可内容と異なる飛行をした場合、航空法違反として最大で50万円以下の罰金に処せられる場合があります。
150m以上・イベント上空での飛行許可は包括申請で取得できない
危険度の高い飛行方法・飛行場所では、包括申請が認められません。
この場合、「個別申請」により許可が取得できます。
- DID地区内での夜間飛行
- 夜間のFPV飛行
- 趣味目的での飛行
- 研究開発目的での飛行
- 補助者なしでの目視外飛行
- 空港等の周辺空域
- 地表または水面から150m以上の空域での飛行
- 緊急用務空域
- イベント上空での飛行
ただし個別申請では、飛行経路の特定し飛行経路図などの提出書類が多くなります。
飛行のたびに許可を取得する必要があり、手間と費用がかかるのがデメリットです。
あらかじめ包括申請で許可を取得しておき、包括申請で対応できない飛行方法が必要な業務は個別申請で対応する、という運用が効率的でオススメです。
包括申請について、よくあるご質問
おわりに
ここまで全国包括申請をする場合の重要ポイントや注意点について解説してきました。
- 包括申請により日本全国で飛行可能、許可が1年間有効
- 包括申請の条件は、業務目的であること、10時間の飛行経験
- DIPSでオンライン申請する方法
- 独自マニュアル作成のススメ|風速5m以上でも飛行できるようになるなど、飛行方法の幅が広がる
航空局の標準マニュアルを使用した場合は飛行方法が限定されるため、個別申請が必要になるケースが必然的に多くなってしまいます。
個別申請は、包括申請に比べて、航空局の担当官との申請内容のすり合わせなどを許可取得までに時間がかかることが想定されます。
撮影などの業務依頼に迅速に対応するために、個別申請の頻度はなるべく少なくしたいですよね。
ですので、包括申請は可能な限り広い範囲で許可を取得し、イベント上空での飛行やDID地区での夜間飛行など、包括申請では対応できないケースのみ個別申請で対応することが望ましいです。